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第41話「ゴースト夏祭りの怪」

【モルグ市魔神博物館】

モルグ市魔神博物館
日本に"魔神"と呼ばれる怪異が出現するようになり幾年。惑羽イチトと真道シガヤは某博物館の出向職員となる。『回収員』として魔神を殺し、死体を手に入れることがふたりの仕事。展示物の確保のため、そして平和な日常のため、ふたりのまどうは魔神を殺す!


【本編】

小説家になろう / カクヨム / Nolaノベル / NOVELDAYS
番外編:『難しい問題』を解けば出られる部屋

【etc】

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初出20210912
#ハバキ #スグリ #シガヤ

「ハバくんって"沢を下る人"だよね」
昼下がりの待機室、コンビニ弁当のからを片付けながらスグリが零す。

「あ?悪口か?」
「え、知ってたの!すごい」
「いや知らねぇけどそのニヤニヤ顔は100パー悪口だって。んだよ川下り好きで悪いか!?ペットボトルでイカダ作って降りるの楽しかったけど!?」

え〜それ楽しそう、と興味が逸れるスグリ。
話を聞いていたシガヤが「山で迷った人の話?」と本題の道を整える。

「そうそれ!」
スグリは笑顔を咲かせ、ハバキは表情を曇らせた。
「お山の話かよ」
「そだよ〜!山で迷った時に沢に降りるのは愚か者だよ!イカダ作れるほどのペットボトルもないよね?」
「でも川は町まで続いてんだろ」
は〜やれやれと首を振るスグリからシガヤが解説役にまわった。

「山にある川だヨ?大体途中で滝になる」
「滝ぃ?」
「あ、今観光名所的なの想像してるっしょ。こういうの」
シガヤがスマートフォンで山間の岩場を見せた。
「でもこれ注意すれば降りられそうじゃね?」

同時に。
同時に、スグリとシガヤが首を振った。
シガヤは神妙に目を伏せ「残念ながら…」と呟きスグリは両手を静かに併せる。

「腹たつ!死ぬのかオレ!?」
「死ぬわけだよ」
「じゃあ川登れってか!?」
スグリがパチンと指を鳴らした。

「近い!」
「あと川って言うけど山にあるの大体沢だからネ」
「山で迷ったら尾根を目指す!これ常識だよ!」
「いや意外だわ〜スグリちゃんがその手のサバイバル知識持ってるなんて」
「だって山の上の方が"私の目"が届きやすいもん」
「ん?」
「ほら、お山の下は裾野が広いよね?探す範囲広くて困るんだよ?だから沢を下る人は馬鹿なの」
「…シガヤ、正解は?」
「携帯の電波が届くから助けを呼べる。それに捜索隊に見つけてもらいやすい。山の裾野より目的地が収束してるしネ」
「ほら!"助けられ易い"!」
のどかな昼休みを過ごす村主<スグリ>はケラケラ笑う。
「上を目指せば村主が助けてあげるから!」

ふふんと少女は上機嫌。
男ふたりは顔を見合わせ「コイツの山もう無いのになんでこんな偉そうなんだよ」「シッ、神の威光を取り戻そうといろいろしてんじゃない」と囁き合った。
村主が両手を広げて村人勧誘演説をはじめようとしたのでハバキは慌てて「困ったら上目指せばいいんだな!」と強引に話を締める。締めようとした。

「あ!?杓子定規に上を目指すな!地震が起きた時に建物に居たら絶対屋上に向かわないでネ!?」
「あ〜別の説教はじまった!」
「地震と火災はセットで起きる、火災で屋上に逃げたらまず助からんよ」
「オレはもうこの話はうんざりなんだよ!」
「雑に絞めようとしたハバキくんが悪いんじゃんね」
「くそっ最終兵器!イチト来てくれー!」

ハバキの喚きにスグリとシガヤが立ち上がる。
「午後も仕事がんばろ!」
「立ち上がったはいいけどオレあの子と仕事じゃん終わった」
同時に扉が開かれ「建物崩落の話をしていたか?」と絶対に父親の死の話に繋げる出だしだったので3人は戦慄したのであった…。

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