2025/12/23 #盛愚市民こばなし 『魔神のややこ』 自分の姉は、異界に落ちてからおかしくなったのです。 続きを読む おかしくなった箇所は数百にのぼりますが、とりわけわかりやすい箇所をあげるなら、2点でしょうか。おなかと、あたまです。 姉は魔神とまぐわい子を宿したようです。 今年で妊娠3年目。 おなかはずっとまるいまま。 姉はこのことで、価値観が変わりました。 魔神信奉者には成り果てた。 自分が特別な存在だって、言ってはばからない。 いっそ殺してあげられたら、と母は泣いていました。 殺すって、あいつごとか?と父は聞くまでもないことを尋ねてきます。 募るふたりの危機感を自分は見逃し、とうとう3年。 「その子の父はどこにいる?」 「今もまだ異界にいるの」 自分の手にはカンニングペーパーがありました。 これには有識者の協力で得た、強大な呪文が書かれています。 これまで姉と話すことは避けていました。 話したらこちらが狂いそうだったから。 「その子の異母きょうだいがどれだけ居るか聞いている?」 私が告げれば、信奉者(シンパ)の目の色が、分かりやすく変わります。 「その子の父親、虫ケラだって孕ませるよ」 副読本、魔神報告書。 十時型魔神の醜悪な物語。 そのひとつに姉が含まれます。 ページは千以上にわたります。 甚大な数であり、微細な被害です。 「ソレの母たる姉さんは、何番目の夫人にあたるの?」 姉さん、今日日、魔神に種付けされる人間の雌の数を、ご理解しておりますか? カンニングペーパーが濡れて読めなくなりました。 自分の涙と姉の血。 悲しいことに効果は絶大。 ところで誰かの支援がないと自分は、姉をあたまがわるいままにしていたのでしょう。 生まれない子を腹に留める姉のように、ゆっくりと表面を撫で続け。 誰かに手を伸ばさないとそこで立ち止まりっぱなし。 つまるところ、似たものきょうだいであったというわけです。 了畳む SS edit
『魔神のややこ』
自分の姉は、異界に落ちてからおかしくなったのです。
おかしくなった箇所は数百にのぼりますが、とりわけわかりやすい箇所をあげるなら、2点でしょうか。おなかと、あたまです。
姉は魔神とまぐわい子を宿したようです。
今年で妊娠3年目。
おなかはずっとまるいまま。
姉はこのことで、価値観が変わりました。
魔神信奉者には成り果てた。
自分が特別な存在だって、言ってはばからない。
いっそ殺してあげられたら、と母は泣いていました。
殺すって、あいつごとか?と父は聞くまでもないことを尋ねてきます。
募るふたりの危機感を自分は見逃し、とうとう3年。
「その子の父はどこにいる?」
「今もまだ異界にいるの」
自分の手にはカンニングペーパーがありました。
これには有識者の協力で得た、強大な呪文が書かれています。
これまで姉と話すことは避けていました。
話したらこちらが狂いそうだったから。
「その子の異母きょうだいがどれだけ居るか聞いている?」
私が告げれば、信奉者(シンパ)の目の色が、分かりやすく変わります。
「その子の父親、虫ケラだって孕ませるよ」
副読本、魔神報告書。
十時型魔神の醜悪な物語。
そのひとつに姉が含まれます。
ページは千以上にわたります。
甚大な数であり、微細な被害です。
「ソレの母たる姉さんは、何番目の夫人にあたるの?」
姉さん、今日日、魔神に種付けされる人間の雌の数を、ご理解しておりますか?
カンニングペーパーが濡れて読めなくなりました。
自分の涙と姉の血。
悲しいことに効果は絶大。
ところで誰かの支援がないと自分は、姉をあたまがわるいままにしていたのでしょう。
生まれない子を腹に留める姉のように、ゆっくりと表面を撫で続け。
誰かに手を伸ばさないとそこで立ち止まりっぱなし。
つまるところ、似たものきょうだいであったというわけです。
了畳む