子どもがひとり死んだ
快活な子だった
誰に似たのだろうと思っていた
昔よくしてくれた親戚のおじさんに似ていた
俺の子は死んだが彼はまだ存命だ
◆
子どもがまたひとり死んだ
愛らしい子だった
妻の小さい時によく似ている
みんなにとても愛された
2番目と3番目に謝罪をされた
自分たちのせいで死んだと
何をやっているんだお前たちは
一体
親の見ていないところで
◆
最愛なる妻が死んだ
妻だけは大丈夫だと思っていた
どうして
子どもを愛していたからか
俺のことは愛していなかったのか
原因はどの子だ?
◆
子どもがまたひとり死んだ
強い子だった
俺はまた支えを失くす
死んだということは
被害者である証拠だ
決して原因ではない
ではどちらが?
◆
子どもがまたひとり死んだ
残ったのはひとり
お前だったんだな
◆
「俺の父は、すでに死んでいる」
「魔神侵攻の折に亡くなった。俺の家族で唯一、こちら側で死ねた男だ」
了