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第41話「ゴースト夏祭りの怪」

【モルグ市魔神博物館】

モルグ市魔神博物館
日本に"魔神"と呼ばれる怪異が出現するようになり幾年。惑羽イチトと真道シガヤは某博物館の出向職員となる。『回収員』として魔神を殺し、死体を手に入れることがふたりの仕事。展示物の確保のため、そして平和な日常のため、ふたりのまどうは魔神を殺す!


【本編】

小説家になろう / カクヨム / Nolaノベル / NOVELDAYS
番外編:『難しい問題』を解けば出られる部屋

【etc】

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#盛愚市民こばなし
『確光レンズ』

それは粗悪品が出回っているため、世間では子供騙し、うさんくさいもの、気休め、旅のお土産程度にしか思われていない。

それもそのはずで、粗悪品をわざと異界商人/ワタリ/あるいはその方が都合の良い人がばらまいたからだ。

普通の人間にはレンズの質を見極めることができない。
子供だましでも、うさんくさくても、気休めでも、お土産でも。
このレンズを渡すことが「あなたを心配している」という気遣いになる。
それだけで市民にとっては十分だ。
正規品は郭公の意匠が付いているが、コピー品は別の鳥。

「ねぇそのカバンについてるやつ」
「ああこれ? 前に妹がさ、修学旅行のお土産で」
「いやソレが一瞬なんか赤色になっ」

運良く色が”見えた”として、それが何になろうか。

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#盛愚市民こばなし
『神器を得てそれから』

営業部長のせいで退職者が続出している。
人事部の苦労も考えてほしい。今はとにかく人手がほしいのに。

大侵攻で人がめいっぱい亡くなって――その手の犠牲は古今東西のこの国で起きてきたことだから、被害の多寡は論ずるところではない。
だからアレさえなければ人手不足がなんて嘆いてはいけない。

悪いのは、部長、部長、部長の態度だ。
魔神侵攻の悪いところは「受けた被害が一様ではない」ことである。
あの人は軽々に人の心の弱ったところを突いていく。
とりわけ、異界落ちした本人あるいは家族がいる者への嗅覚が凄まじい。

「最近どうですか」
ああ自分の胆力の無さがかなしいところ。
ヘラヘラと愛想笑いを浮かべて部長に探りを入れていく。
「”日本刀”を買ったんだ。奮発しちゃったよ」
それを誰かに話したくてしょうがなかったのか部長はご機嫌だった。
日本刀、いいですね、身を守れますねとゴマをすれば「あんたは現世の危険をよくわかってる!」と上機嫌に絡まれた。酒も入っていないのに。

「剣道やってるんですか?」
「いや。でもでっかい刃物は怖いだろう、魔神だって」

ああなんとなく喫煙所の空気がどろりと歪んでいく。
部長がこちらを見つめていて、その目を見返すことが絶対にできない。

「それに逆恨みの連中だってあれでズバンだ」
「はは、逆恨みって」
「俺にちょっと痛いとこ突かれたからって此処から逃げてったヤツらだよ。最近多いだろう、その手の人間関係のこじれから事件起こす若者とか。根性がない」
「部長……」
「わかってるんなら、って思ってるんだろうきみも」

いつの間にか諌められている。
じわりと本能的な恐怖が喉からせり上がった。
こうべを垂れるか逃げ出すか、そのどちらかの道以外が切り落とされたような。
でもそれは決して敵意をぶつけられたのではなく、自分が簡単に握りつぶされる矮小な存在に思えただけ。

「でもこのままじゃうちの会社が……」

せめて何かを弁明しようと、ちっぽけな勇気を振り絞って顔をあげた。
でも自分にできたことは、部長の顔を真正面から見ることだけだった。
彼の瞳は真っ青で、鼻からは青い液体を流していた。



「令す六人部、秩序が主」
カチューシャを付けた少女が、諳んじながらリボン遊び。
「私が六人部なら足を切るけど」
誰かに語るように呟いた。
「逃げられたら支配できないし」

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#盛愚市民こばなし
『私は彼の絶望を甘く見ていたのかもしれない』

「生きてる人間にゃどうしようもねー」
それがN君の言い分だった。
彼は数年前、皇都から引っ越してきた子だった。
親は魔神侵攻で死んでしまったそうだ。

大人たちが雑にくくった『魔神』という存在は、正しくは『異界性侵略的怪異』というものだそうだ。
怪異相手に何ができるかよ、とN君は諦めたように笑っている。

それでも、まだできることはあると思う。
私たちは今、魔神に追われて納屋に隠れていた。

ここにはおじいちゃんが用意してくれた古い銃や爆薬が残っている。
なんでも『魔神』相手なら武器を使って良いっていう、特別な法律があるそうだ。
魔神を倒したっていう話もあちこちで聞く。
当然、その何倍も、犠牲になったという話はあるけれど……少なくともいない神様に祈るだけしかできないというわけではない。

私はかすかな勇気を奮い立たせて、N君の背中をさする。
諦めるにはまだ早いよ。

「ああ、いいもんあるなお前んとこ」

N君は皇都で何を見たのかな。
私は彼の**を甘く見ていたのかもしれない。

N君は私が指し示した銃を手に取ると。
手慣れた様子で構えて……それから自分の頭を撃った。

『神』なんて冠したところで、この国の人間ならきっと「どうにかできる」って思っちゃうじゃん。だって八百万の神の下にいるんだから。
でも私たちを脅かしているのは『怪異』なんだって、正しく理解しておくべきだった。

銃は効かない、爆薬だって意味がない、ところで『銃刀法限定解除特法』っていう特別な法律の下ではこれで普通の人を殺したら罪が重くなるんだって!

私はN君から虐められてたから、どうやら彼を殺す理由があるらしい。
怪異のせいですなんて、こんな世の中になっても信じてもらえないなんて。
あーあ私も死んでおけばよかったな。

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#盛愚市民こばなし
『安上がり』

某イベント会場で参加者同士の諍いが暴力行為に発展。
被害者は胸部を負傷、意識不明の重体で病院へ。
加害者は突然激昂したとのことで、参加者間で以前からトラブルがあったと考えられる。

証言1
「あの子、変なカラコンしてたんですよ。両目が真っ赤で」

結論
鬼子型の魔禍濡れ

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#盛愚市民こばなし
『かねてより!』

「『御頭型』魔神なんて言われてもね……」
「古くからある言い伝えなのよ、これ」
「おばあちゃんの頃からいるんですよ」
「だから新しい名前をつけようとするのやめて」
「俺たちはずっとそう呼んできたんです」

噂を被って現れる『御頭(オズ)』型の魔神は、はじめから席を与えられているので、容易に人の世に居座ります。
そして神のように振る舞ったり、怪異の名を借りて人を脅かすのです。

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